「軽々しく『死ね』とか『殺す』とか、言ってんじゃないわよ!
    どーせ実行する勇気もないんでしょ、あんたらにはさ。」
             とある少女の一言

「さて・・・と、まだ策はあるかい?
最も、二連斬、疾風斬り、破砕剣・・・
どの剣技を繰り出してこようとも、対処する自信はあるけども。」
ランスのメガネが光った。
「君の失敗は、持ち技を全て、今までの試合で見せてしまったことだ。
明らかに、必殺技を使わずに勝てる相手も・・・何人かいたはずだけど。」
「ずーっとオレの試合を見てたなんて、あんたけっこーヒマ人だな。」
「君の試合だけじゃない。このブロックの試合は全てさ。
年に1度の試験だ、それだけの用意をして望むのは当然だろ?」
オレの皮肉に全く動じず、淡々と言うランス。
悔しいが、ヤツの言うことは正論だ。
年に1度の試験。誰もが合格したがっている。
その中で、対戦相手の研究をすることは必要なことだ。
必要以上に自分の必殺技を見せるのは、手の内を明かしているも同じこと。
オレは注意を怠った、と言われても仕方がない。
だが・・・
ランスの言葉にも1つだけ間違いがある。
そう、オレの技はこの3つだけじゃない。
もう1つだけ、あるということを。
ただし・・・この技は非常に制御が難しい。
練習でうまくいっても、実戦でうまくいく保証は全くない。
しかも、だ。
この技は体力、精神力の消費が非常に激しい。
他の技のおよそ10倍の力を必要とするこの技を使えるのは・・・
恐らくあと、たったの1回!
その後は残りの試合も含めて、他の技を2,3回くらい。
1つの見せ技くらいは使えるだろうが、
体力を温存しておかなくては、次の試合でも確実にやられる!
「チャンスは・・・1度だけ、か。」
「・・・?どうした?
攻めて来ないのか?ならば、俺から行かせてもらうよ。」
ランスが痺れを切らしたようだ。
「悪ィな、考えてたんだよ。
お前をブッ倒す方法をな!」
オレはそう言い、ランスの方へ駆け出した!
「何か考えがあるみたいだな。いいだろう、受けて立とう!」
ランスが叫んだ。
「破砕剣っ!!」
オレはランスの間近で技を繰り出した!
「その技も予測済みだよ。」
ランスはそう言い、オレの左後方へ技を避ける!
「また砂塵攻撃か!?同じ手を使うとは能がないな、リックス。
ストーミィっ!」
巻き上がった砂塵はランスのストーミィによって一瞬で吹き飛ばされる!
そこに、隙ができた。
「今だっ!虚空薙っ!!」
剣から放たれた空気の刃が、
風を切り裂き、離れているランスの方へと襲い掛かる!
呪文の詠唱を終えたばかりで硬直状態のランスは動くことができない!
「切り裂けっ!!」
そしてその空気の刃は・・・ランスをかすめて格闘場の観客席を直撃した。
「ちゅどーんっ!!」
観客席の中央部分が、えぐれていた。
・・・近くに人がいなくてよかったι
「・・・まさかあんな大技を持っているとは思わなかったよ。」
ランスが冷や汗を拭きながら言う。
「だが、君の様子から見ても、もう1回あの技を使うことはできないはずだ。
違うかい?」
・・・見破られてるっ!
「今ので俺を倒せなかったのは致命的だな。
悪いけど、勝たせてもらうよ。」
「悪ィが・・・オレも負けるわけにゃあいかねぇんだよっ!!」
こうなったら、次の試合とか考えている場合じゃない!
残された力を全てコイツを倒すのに使う!!
「二連斬っ!!」
「無駄だ。」
アイスバーンだ・・・
ランスの手から放たれた魔法が何なのか、なぜかオレには分かった。
だが、腕の動きは止まらない。
飛んでくる氷の塊が、スローモーションのようにゆっくりと近づいてくる。
「ちっ・・・っくしょぉぉぉぉ!!」
二連斬を繰り出すよりわずかに早く、それはオレの腕を直撃した。
「パリーン。」
その瞬間、何かの壊れる、乾いた音があたりに響いた。


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