「誰が何と言おうと、
    人生ってぇのは自分で切り開くモンだ。」
             酒場のお兄ちゃんの言葉

「じゃあ、始めるよ!よーい・・・スタート!」
マラー先生の声と共に、みんなが一斉に門から飛び出した!
「よし、みんな!いくぜっ!」
オレも声をかけつつダッシュする。
「うむ!他の班に負けてはおれぬからな!」
ムサシもそう言い、オレに続く。
いきなり遅れをとるわけにはいかない。
オレたちは先頭集団の真ん中あたりの位置につく。
この辺りなら、いつでもスパートをかければ先頭に立つことができる。
他の連中を牽制しながら走るにはちょうどいい位置だ。
余裕が出てきたところで、オレはちょっと気になっていたことを聞いてみた。
「さて・・・で、他の3人は?」
「さぁ?」
笑顔で聞くオレに、同様の微笑みで返すムサシ。
「・・・やっぱ、常に5人1組でいなきゃダメだよな?」
「至極当前のことでござるな。」
「・・・ちっくしょおお〜っ!!マジかよこのヤローっ!!」
オレとムサシはわめきながら慌てて引き返す。
3人を見つけたのは、3組にゴボウ抜きされた後だった。
「はぁ、はぁ・・・」
「ったく、何なのよ。ブツブツ・・・」
「いやぁ、いい天気だなぁ。太陽がまぶしいなぁ。」
うわ、まとまりねぇ・・・ι
「あんたらねぇ!何やってんのよ!」
こっちの姿を見るなり、シャナはいきなり怒鳴ってきた。
「いや、それこっちのセリフだし。」
オレはれーせーにツッコんでみる。
「うるさいわね!いきなりそんなに走ってたら体力持たないでしょうが!
あんたら頭ないわけ!?」
なおも文句を言うシャナ。
「・・・っつーか、あれくらい普通だろ?」
「うむ。別に拙者ら、いきなり全速力でスパートをかけたわけじゃないでござるよ。」
オレのセリフに、ムサシが同意する。
「はぁ、はぁ・・・リ、リックスさんも、ムサシさんも、体力ありますけど、
私たち、あんまり、体力、ないんですよ。・・・はぁ、はぁ。」
息を切らせながら、スピカが抗議する。
「そうよ!私たちか弱い女の子を、あんたらみたいな体力バカと一緒にしないで欲しいわ!
ちょっとは考えなさいよっ!」
そんなことをしてる間に、また1組に抜かれた。
「誰がか弱いんだ!
んなこと言ってると最下位になっちまうだろうがっ!
ったく、どっちが足手まといなんだよ!」
オレもイラついて言い返す。
「何よ!」
「何だよ!」
険悪なムードになりつつあるその時だった。
「ってことは〜、みんなが速くど〜くつに着けばい〜んだよね〜?」
ブライアンが間延びした声で、オレとシャナの間に割って入ってきた。
「じゃあ、ちょっと待ってて〜。ぼくに〜、いい考えがあるから。」
そう言うと、ブライアンは服の中から小さな入れ物を取り出し、
妙なお香のようなものを入れ、火をつけた。
もくもくと、煙が立ち上る。
そんなオレらを尻目に、さらに最後の1組が横を通り過ぎて行く。
「おいっ!また抜かれたぞっ!?
どーすんだ!オレら最後尾じゃねーかっ!!」
怒鳴るオレを全く気にする様子もなく、ブライアンは
「まぁまぁ、も〜少しだからさ。」
などとへーぜんとした顔で言う。
「一体何が起こるわけ!?本当に早く行けるんでしょうね?」
シャナも聞く。
お前らがそもそもの原因だろうが!とツッコみたかったが、
またトラブルになりそうだったので、黙っておいた。
「あ、来たよ〜。」
ブライアンはそう言ったが、辺りには何もいない。
「・・・?どこにだよ?」
オレがそう言った瞬間、空からとてつもなく大きな鳥が現れた!
大きさは象くらい。普通にオレら5人が背中に乗っても平気そうだ。
「これは・・・グランバードですか!?」
スピカが驚きの声を上げる。
グランバード。この世の中で最も大きい鳥で、
時速120キロのスピードで空を飛ぶという。
話には聞いていたが、オレも姿を見るのは初めてだ!
「これはグランバードの大好きなにおいなんだ。
グランバード、メイルスパンの洞窟まで連れて行ってくれるかな〜?」
そう言って、ブライアンは妙な干し肉をグランバードに与える。
「クエーッ!」
交渉が成立したみたいだ。
「さぁみんな、行くよ〜!」
ブライアンが叫ぶ。
「キェーッ!」
グランバードはひと鳴きすると、大空へと飛び立った!


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